アメリカのAmazonが展開する、荷物の宅配をより便利にするサービスAmazon Key。どのようなサービスで、利用には何が必要なのでしょうか。
詳しく内容を見ていきましょう。
この記事の内容
Amazon Keyとはどんなサービスなのか
Amazon Keyは、不在時の宅配をより便利にするサービスです。
Amazon Keyに対応した家である場合、Amazonが認定を受けた宅配業社であれば、不在時でも業者に玄関ドアの鍵を開ける権限を一時的に渡すことで、荷物を玄関ドアの内側に届けてもらうことができるものです。
サービスの利用対象者は、Amazon Prime会員に限定されたものとなっています。
サービス地域も、Amazonが認定した宅配業社が存在する地域に限られています。
どのように荷物が配送されるのか
実際にどのように配送されるのか、順を追って見ていきましょう。
玄関前までの配送と玄関ドアの開錠
まずは通常の宅配同様、宅配業社が玄関前までやってきます。玄関ドアまで来ると、まずはドアをノックして不在かどうかを確認します。いきなり入ってくることはないので安心ですね。
もし不在であった場合、認証を受けた宅配員は、彼らの端末を使用して玄関ドアの鍵を開けます。
鍵が開く際には、連動して後述する内側に設置してあるセキュリティーカメラの録画が開始されます。また、荷物の到着前にはスマートフォンに、もうすぐ到着するという通知が来ます。
そして荷物の玄関ドアの内側への配送が完了すると、配送が完了したことを知らせる通知が再度スマートフォンに来ます。
カメラがあるとはいっても、やはり何か起こっていないかが心配。しかしリアルタイムに通知が来るため、連動して動作するセキュリティーカメラを利用して宅配されている様子を監視することも可能です。
セキュリティーカメラは通話機能も備えていますので、何かあれば話しかけることもできます。
もちろん映像は保存されているので、後から確認することも可能です。
Amazon Keyに必要なデバイスはカメラとスマートロック
では実際にAmazon Keyを利用するためには何が必要なのでしょうか。
Amazon Keyのサービス発表と同時に、アマゾンはAmazon Key In-Home Kitの販売を開始しました。
Amazon Key In-Home Kitは、Amazon Cloud Camというデバイスとスマートロックがセットになったものです。
Amazon Cloud Camとは
Amazon Cloud Camは、家の中を監視してその映像をネットワーク越しに確認することも可能な、いわゆるネットワークセキュリティーカメラです。
実際にできることは以下のようなものになります。
- 無線接続で自由に設置が可能
- スピーカーとマイクを備えて双方向会話が可能
- 夜でも綺麗に映像が撮影できる
- 録画された内容はクラウド上で確認できる
- 何か動きがあった時のみ録画を行うことが可能
特にこれといって特徴があるわけではなく、一般的なネットワークセキュリティーカメラとできることは変わりません。
一番の特徴はAmazon Key及びAlexaとの連携
では何が一般的なものと違うかというと、Amazon Keyサービスとの連携、及びAlexaでの利用が可能といった点です。
Amazon Keyサービスでは、玄関の鍵の開錠に連動して録画が開始される仕組みとなっています。この仕組みはAmazonのクラウドサービスを経由して提供されるため、カメラデバイス側がこの仕組みを把握している必要があります。
これと連動しているのは、Amazon Cloud Camのみとなっています。
また、Alexaと連携して利用することが可能なので、Alexaに玄関の様子を移してとAmazon Fire TV経由でお願いしたりすることも可能です。
Amazon Ehoでも利用されているAlexaでできることについては、以下の記事でも説明していますので、よろしければ参考にしてみてください。
Amazon Cloud CamはAmazon Keyのハブとして動作
Amazon Keyの本体機能は、その名前からもスマートロック側の鍵デバイスにあるかと思いがちですが、実は本体はカメラ側です。
ちなみにスマートロックとは、ネットワークに接続された鍵で、スマートフォン上から鍵の開け閉めなどが可能なもので、日本ではキュリオスマートロックなどが有名です。
上記の通り、カメラ側はAmazonのクラウドサービスに接続されています。そしてロックを開錠する際には、カメラデバイスが直接スマートロックと通信を行います。そのため、鍵が開いたのに録画されていないというような心配はほぼ皆無です。
ちなみにこの通信には、Amazon Echo Plusにも搭載されているZigbeeという無線通信技術が利用されています。
Amazon Keyの利用には専用スマートロックが必要
上記の理由により、スマートロックもAmazon Keyに対応した専用のものが必要となります。このため、AmazonはAmazon Key In-Home Kitとして、まとめて販売しているわけですね。
アメリカではYaleとKwiksetという、鍵のメーカーとしては非常に有名な2社からこれに対応したデバイスが販売されています。
スマートロックの設置方法は2タイプ
スマートロックの設置方法には2タイプあります。
ひとつは外からの見た目が今までと変わらない従来タイプ。この場合は内側からのみキーを交換することになります。
もう一つはキーパッドがついたタイプに交換するパターンで、この場合は丸ごと交換する必要があります。
キーパッドが付いているタイプの場合は、一時的に有効な番号を発行することで、知り合いが来た際に勝手に開けてもらえるといったことも可能なので、丸ごと取り替える価値もあるかもしれませんね。
Amazon Keyは果たして成功するのか
Amazon Keyというサービス、確かに不在時の宅配に関しては日本でも大きな問題となっているため、解決策の一つとしてはアリなのかもしれません。
しかし利用を促進するためには、超えなければならないハードルがいくつかあります。
どこまでサービスを信用できるか
そもそもAmazonを信用できるかが第一の問題点です。Amazon Keyを利用している限り、Amazonからは鍵が開け放題なわけです。かつAmazonは鍵が開いているのか、閉まっているのかも把握しています。
また、Amazon Cloud Camは室内の様子を伺うことも可能です。カメラの映像はもちろん、マイクもあるため実際に部屋にいるのかどうかも予測が可能です。
完全にAmazonを信用できなければ、頼り切るのは難しいかもしれませんね。
アメリカでは不在での再配達は一般的ではない地域も多い
そもそもアメリカでは、不在だからといって再配達とはならない地域も実は多いのです。
信じ難いかもしれませんが、この場合不在時には荷物は玄関先にただ置いていかれるだけとなります。
これですでに機能している地域の場合、荷物が盗難に遭う危険性と、ドアを開けられたことによって何かが起こる危険性のどちらをとるかということになります。
ドアの前に置いていても問題ないのであれば、あえて導入するメリットはあまりないかもしれませんね。
Amazon KeyはAlexaエコシステムを利用したスマートホームの一手
Amazon Keyは、アマゾンが目指すAlexaというエコシステムを利用したスマートホームを形成するための一つの手でしかありません。
サービスやデバイスを信頼できるか、知らない人がドアを開けて室内を見ることができるという不快感を払拭できるかはなかなか難しい問題です。これらの問題から、仮に日本でサービスが開始されたとしても、はやるかどうかは不透明ですね・・・。
一方でスマートロックを導入する利点を増やしてくれるといった点では、非常に画期的で、かつアマゾンだからこそできるサービスだという点で、非常に価値のあるものだと感じます。
Amazonが色々なスマートホームデバイスに付加価値を付けていってくれることにも期待したいですね。
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