アメリカの巨大企業であるデルタ航空とGE (ゼネラル・エレクトリック)が、従業員が使用する端末を、マイクロソフト製のものからApple製のものに変更することが発表されました。
デルタ航空の従業員は、現在利用しているLumia端末とSurfaceデバイスの代わりにiPhoneやiPadを、GEは職場のシステム環境のベースをiOSデバイスやMacを利用するという大胆な変革のようです。
デルタ航空とは
デルタ航空はアメリカ合衆国ジョージア州アトランタ市に本拠地を置く航空会社。
1日の運行本数は約5000便で、機材保有数は世界第1位、旅客運送数及び旅客キロ数で世界第3位の巨大な航空会社です。従業員数は約8万人。
GE (ゼネラル・エレクトリック)とは
ゼネラル・エレクトリックはアメリカが州国コネチカット州に本拠地を置く、事業分野が多岐にわたる多国籍コングロマリット企業 で、売上高は15兆円を超える巨大企業です。
もとは電球を発明したトーマス・エジソンが設立した会社という歴史のある企業でありながら、その分野で1位か2位となれない事業は切り捨てるという、挑戦をし続ける企業でもあります。従業員数は約33万人。
マイクロソフトとの関係が深いデルタ航空
デルタ航空では2013年から2014年にかけて、フライトアテンダントが利用する端末にLumia 820やLumia 1520といったスマートフォン端末を、パイロットが利用する端末にはSurface 2タブレットを導入してきました。
マイクロソフトとデルタ航空は、社員が出張などで飛行機を利用するための提携も行なっており、マイクロソフトのお膝元であるシアトル・タコマ国際空港では、デルタ航空のマイクロソフト社員専用チェックインカウンターがあるほどです。
https://twitter.com/taher_hassan/status/530821930858070017
しかしこれらのマイクロソフト製のデバイスは、iPhone7 PlusやiPad Proに置き換えられていく予定となっています。
Thurott.com上でマイクソフトが出した声明では以下のように語っています。
我々はデルタ航空と素晴らしいパートナーシップを結んでいます。彼らはハードウェアの更新期限が来たことで、その環境をフライトバッグに合う10.5インチファクターのものへ変更することを決定しました。
デルタ航空は投資を止めることなく、DynamicsやOffice 365に代表される、マイクロソフトが提供する効率の良いビジネスアプリケーションを、多岐にわたるオペレーションで利用しており、今後もそうであり続けます。
Appleとパートナーシップを結んだGE
一方のGEでの変化はより大きなものとなりそうです。GEはAppleとより密なパートナーシップを結ぶことで、社内のエコシステムをiOSやMacをベースとしたものに変更していくようです。
GEは産業向けIoTアプリの開発環境であるPredixというものを開発しており、そのアプリの開発環境のベースとなる端末として、Appleが提供するiOSを選択したというのが大きな一因ともなっているようです。
それにとどまらず、約33万人の従業員が利用する端末にも、iPhoneやiPad、Macといったデバイスを採用していく予定となっています。
未来の見通せないプラットフォームへの投資はできない
マイクロソフトと特に関連の深いデルタ航空や、システム環境そのものを変えていくGEの決定には少し驚きですが、これらの動きは避けては通れないものかもしれません。
マイクロソフトはWindows 10モバイルに未来がないことを彼ら自身も理解しており、以下の記事で説明したように、Windows 10モバイルが静かに終息していくことを表明しています。
このような先を見通せないプラットフォームには、企業として投資を続けることが困難なのは自明です。
これらの経緯からマイクロソフトとしても、既存のプラットフォームでマイクロソフトのサービスをどう提供できるかに主眼を移しており、ある程度予想はできていた流れだと考えられます。
しかしたった2社がこれらの変更を行うことで、何十万台という端末に影響が出るのはマイクロソフトにとっては痛手ですね・・・。