DxOMarkが行ったカメラテストで、iPhone 8 Plusがこれまで1位だったGoogle Pixelを抜き、今までのスマートフォンの中で歴代1位となったことを発表しました。
iPhone 8 Plusはこれまで最高だったGoogle Pixelの90ポイントよりも4ポイント高い94ポイントを獲得しています。時点にはiPhone 8が92ポイントで着けていて、どちらもGoogle Pixelよりも高評価となりました。
この記事の内容
DxOMarkとは?
DxOMarkは組み込み機器向けの画像処理エンジンなどを開発するフランスの会社、DxOが運営しているサイトで、カメラのセンサーやレンズに対する評価を行って、それをスコアとして表すようなレビュー記事を掲載するサイトとなっています。
一眼レフカメラなどのカメラ専用機、レンズ、そしてスマートフォン等のモバイル端末のカテゴリーに分かれていて、カテゴリー間の点数の比較には意味がありません (例えばモバイルカテゴリーで90点のものが、カメラカテゴリーの85点より良いわけではない)。
その評価には賛否両論あって、コメント欄は結構荒れがちだったりもします。余談はこれまでにして、以下評価を見ていきましょう。
明るい場面でHDR撮影時の画質が特に向上
好天時の屋外のような場面での画質が特に向上したと評価されています。特にディテールの維持や色の再現、ダイナミックレンジの点で評価が高いようです。またHDR撮影時の露出の計算の正確性が上がったことも評価されています。
iPhone 7シリーズと比べても、HDR撮影時のディテールの維持、露出の適正さの点において大幅に向上していると絶賛しています。
暗所でのノイズレベルも確実に向上
暗い場面での撮影で気になるノイズも、iPhone 7シリーズと比較するとかなりよくなっている様子。以下の画像の、原寸大のiPhone 7 Plusの画像とiPhone 8 Plusの画像を比べてみると、特に顔部分に乗っているノイズがかなり改善されていることがわかります。
Google Pixcelと比べると、暗所での露出については劣っていますが、カラーノイズの載り具合に関してはiPhone 8 Plusのほうが優秀だとも判断もされていて、決してiPhone 8 Plusは完璧だと絶賛しているわけではないようです。
高い色の再現能力
色の再現も屋外、屋内の双方において優秀との評価。iPhone 8 PlusはiPhone 8と比べても、暗い状況での色かぶりに強いという点が評価されています。
広角カメラはセンサーもレンズも同じはずなんですが、何がこのような影響を与えているのかがちょっとよくわからないですね。
ホワイトバランスの点においてはGoogle Pixelが引き合いに出されており、Googleと比べるとAppleはどちらかというと暖色よりのホワイトバランスをした絵作りをすることが述べられています。
ただこの点においてはDxOも、どちらが良いかではなく好みの問題だという結論のようですね。
ズームやボケの再現
今までDxOMarkはズームやボケの再現という項目は、モバイルカテゴリーには無かったのですが、これらの評価項目が今回から新たに加わりました。当然iPhoneに関してはPlusシリーズのみの評価になります。
業界標準となるようなズーム能力
ズームに関しては、iPhone 8 Plusはスマートフォンで光学ズームが使用可能なカメラの業界標準となるべき性能を備えているもので、その画像処理能力も含めてiPhone 7 Plusから見ても着実に進化していると述べています。
しかし、例えば連続で望遠カメラで撮影していると、ノイズが出るような画像が生成されることがあるため、このあたりにまだ改善の余地があるとしています。
スマートフォンの中では最も優秀だが、まだまだ改善点のあるボケの再現能力
ボケの再現に関しては、iPhone 8 Plusは、同様のことができる他のスマートフォンに比べると優秀という評価です。ただスコア自体が低いのでまだまだ改善の余地がありといったところですね。
また、Pixelと比べるとボケの再現性は高いけど、その変わりにノイズが多いという評価。
確かに上記の原寸大画像を見ると、Pixelの画像はノイズが少ないけれど後ろのボケが不自然、iPhone 8 Plusの画像はボケは自然だけれどノイズが多いのがわかります。
その他の評価
その他の項目に関する評価を何個か抜粋してみます。
- フラッシュを使用して撮影した際のホワイトバランスが正確
- 動画撮影では手ぶれ補正、色の再現、露出の決定が非常に優秀で、前モデルよりも改善している
- 動画撮影のフェイストラッキングが優秀
- オートフォーカスに関しては周囲の明るさに関わらず多少もたつくこともあり、シャッターチャンスを逃してしまう可能性もある
- 暗部での動画撮影時に露出がアンダーとなる傾向がある
iPhone 8 Plusのカメラのメリット、デメリット
DxOMarkがまとめたiPhone 8 Plusのメリット、デメリットは以下のようになっています。
メリット
- 全てのスマートフォンの中で最高のHDRパフォーマンス
- 最適な露出を決定するための優秀な顔認識機能
- 優秀なズーム機能
- 改善の余地はあるが、スマートフォンの中では最も優秀なボケの再現
デメリット
- 暗所で露出がアンダーになる傾向がある
- オートフォーカスにいくつか問題がある
あとがき
基本的にカメラのセンサーとレンズはiPhone 7シリーズから進化していないはずなのであまり期待していなかったのですが、iPhone 8シリーズのカメラは予想に反してかなり進化しているようです。
iPhone 8のiPhone 7との違いについては以下の記事も参考にしてみてください。
A11 Bionicによる画像処理能力の向上と機械学習の効果が発揮されているようですね。これからのカメラの画質の進化には、機械学習能力の進化とチップの高速化も重要な要素になってくるのかもしれません。
iPhone Xは以下の記事でも説明した通り、望遠カメラに光学手ぶれ補正が搭載され、レンズも明るくなっています。
今回あまり評価の良くなかった暗所でのボケ再現がどの程度改善されるのか、iPhone Xの評価も楽しみなところです。
出典: DxOMark