カメラレンズの配置がこれまでとは大きく変わったiPhone X。見た目だけではなく、性能も着実に進化しています。実際にiPhone Xで撮影した写真を交えて、デジタルズームの画質も比較しながら、カメラのレビューをしてみたいと思います。
この記事の内容
iPhone Xのカメラ仕様
まずはおさらいとして、iPhone Xのカメラ性能を見ていきましょう。
iPhone Xには広角カメラに加えて、今までiPhone Plusシリーズにしか搭載されていなかった望遠専用カメラが搭載されています。
具体的な広角カメラと望遠カメラの性能は以下の通り。
広角カメラ | 望遠カメラ | |
画素数 | 1,200万画素 | |
センサーサイズ | 1/2.9型 | 1/3.6型 |
開口部 | f/1.8 | f/2.4 |
焦点距離 (35mm換算) | 28mm | 52mm |
手振れ補正 | 光学手振れ補正 |
iPhone Xのカメラが進化した点
iPhone Xは今までのiPhone Plusシリーズと比べて、特に望遠カメラの性能が向上しています。
f値はf/2.8からf/2.4となり、レンズがより明るくなりました。今までの望遠カメラの焦点距離は57mmだったので、焦点距離が短くなって口径比が大きくなったことで、f値の小さいより明るいレンズとなったようです。
また、望遠カメラにも光学手振れ補正が採用されています。光学手ぶれ補正ではセンサーが物理的に動くことで手ぶれを防ぎます。デジタル処理では写真の端が途切れて少し小さなサイズになってしまうのですが、光学式ではそのようなことは起こりません。
つまり、夜景や室内などのより暗いシーンで手ブレしにくく、ノイズが少ない写真が撮影できる望遠カメラとなったといえます。
光学ズームとデジタルズームの性能
iPhone Xは光学2倍ズーム、および最大10倍のデジタルズームを搭載機能を搭載しています。光学ズームは一眼レフカメラのようにレンズを利用してズームを行う機能で、デジタルズームはセンサーに移った写真を画像処理で無理やり大きくする機能です。
つまりデジタルズームはパソコン上で画像を拡大するのと変わらないため、どうしても画像が劣化してしまいます。また望遠ズーム時に得られる圧縮効果も、デジタルズームでは得られません。
また、光学ズームは等倍、および2倍ピッタリの時にしか利用されません。例えば1.5倍ズームなどの場合は以下のようにデジタルズームとなります。
なお、2倍ズームの時でも、望遠レンズでは明るさが足りない時には勝手にデジタルズームが利用されることがあります。
この機能を無効にできるか、このような状況になった時に明示的に画面に何かを表示してくれるとうれしいのですが、知らない間に勝手に切り替わるので、後から確認するとデジタルノイズが乗ってしまっているといったことも何度かありました。
広角カメラでの作例
ただの素人が撮影したものですが、いくつかiPhone Xの広角カメラを利用して撮影した写真を紹介させていただきます。
こちらはカーショーで撮影した車内の1枚。車内は薄暗くシャッター速度も遅いのですが、ノイズや手ブレをうまく抑えた画像となっています。
こちらは晴天時に撮影したカラフルなクリスマスツリー。若干アンダー気味ですが、見た目のイメージに近く、空のグラデーションも再現されています。
次は雨天時に撮影した苔の張り付いた岩。ポートレードモードを利用したわけではありませんが、至近距離で撮影したため前後が適度にボケています。岩の濡れた質感もよく再現されていませんか。
最後は曇り空の夕暮れの一枚。陽の明かりと湖の木々の反射のコントラストが綺麗に撮れています。わりと薄暗かったのですが、このような状況でも1/255秒で撮影されていたことに少し驚きました。
色々な望遠倍率における画質の比較
続いてズーム画像の画質の比較です。
以下は同じ地点からズーム機能を利用して、様々な倍率で撮影した写真の比較です。
なお写真はタッチかクリックで、ブログ用に加工された600×450サイズに拡大します。1,200万画素の元サイズ画像も、オリジナルサイズ画像をクリックで閲覧可能です。
まずは等倍と2倍から。もちろんこれらの倍率にはデジタルズームは利用されていません。
以下は右端真ん中のあたりにあるレンガ造りのビルを、オリジナルサイズで切り出したものの比較です。
さすがに等倍画像ではレンガのディテールは潰れてしまっていてレンガ造りなのかどうか定かではありませんが、2倍では端にあるわりにはそれなりに解像してくれていて、レンガ造りであることがはっきりわかります。
ここからの画像はデジタルズームのものとなります。本当はレンガの建物に注目したほうがわかりやすかったような気がするのですが、そもそもこの建物があったことに気づいたのが、記事編集のために2倍画像を確認していた時でした・・・。
というわけで一番高い建物にフォーカスを当てた比較でご容赦ください。
いかがでしょうか。ブログに載せるためにリサイズする前提であれば、最大倍率の10倍でもわりと使える気がしています。
オリジナルサイズでも、個人的には4倍なら利用してもいいかなという印象です。それ以上はさすがにリサイズしないと厳しいと感じます。
どうしてもより綺麗な望遠画像を撮影したい場合は、以下のようなスマートフォン向けのクリップ式望遠レンズを装着することも可能です。
なおオリジナルサイズの画像を見ていただければわかると思いますが、デジタルズームでは単純に画像の一部を切り出してサイズの小さい写真としているわけではなく、画像補完処理で1,200万画素の画像に拡大してから保存されています。
まとめ: iPhone Xはカメラ要らずのレベルの高いデバイス
iPhone Xを購入してから、カメラを持ち歩く機会がかなり減りました。光学2倍ズームがあれば、自分が動けばそれなりに意図した構図の撮影もできるため、特にコンデジレベルのカメラであれば、もはや必要ないと感じています。
このブログの画像も今まで利用していた一眼レフではなく、iPhone Xで撮影したものが多くなっています。
ポートレートモードは実験的で一眼レフを置き換えるレベルにはない
ですが、残念ながら一眼レフを完全に置き換えられるような存在だとは全く感じていません。一眼レフとのセンサーサイズの差からくる画質の差は明らかですし、もっと望遠性能が欲しいこともあります。
また、背景をぼかしたい時にポートレートモードが使えるといっても、この機能はまだ不安定です。
例えば以下の画像。子供を撮影した画像なのですが、手と服、顔で囲まれた部分がボケていません。一方で左上の背景はボケています。指のボケけたも少し不自然ですね。
ポートレートモードは一眼レフのように光学的にボケているわけではなく、画像処理で無理やりぼやけさせています。どうもこの処理は囲まれている部分の認識が苦手なようで、同じようシチュエーションでは似た結果となります。
もちろん構図やポーズによっては、もっと自然なボケを再現した写真撮影も可能ですが、ちょっとクセのある機能だなという印象は否めません。
機動性に勝るものなし
iPhone Xの強みはやはり機動性です。いつでも携帯しているためシャッターチャンスを逃すことなく、パッと出してサッと撮れる。これは何にも代えがたい強みです。
この携帯性でこの画質と機能を備えているのであれば、個人的には満足のいく買い物だったと感じています。みなさんの参考になれば幸いです。